アトムは天使だ!      手塚作品はバイブルだ!

「手塚治虫展」 豊橋市美術博物館
開催期間>2020年10月3日〜11月23日
開催に際し"手塚治虫と私"というテーマで特別寄稿し、会場及びHPで公開されました。
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 1960年生まれの僕が初めて出会った手塚作品は、1963年に始まった日本初の連続テレビアニメーションの「鉄腕アトム」です。アトムは決して「正義の味方」ではなく「道徳心」を持った天使のようなロボット少年、僕はそんなピュアなアトムの虜になってしまいました。
 今でも家には1枚の貴重な写真が残っています。1967年、僕が7歳の時に家族で行った京都・清水寺での写真です。そこにはアトムの水筒を掛けて得意満面にポーズをとっている僕がいます。そう、僕は53年前から鉄腕アトムコレクターだったのです。当時は身の回りのモノを全てアトムグッズで揃えていました。弁当箱や箸入れ、コップやスプーン、ハンカチに手袋、筆箱や鉛筆や定規、トランプやカルタ、貯金箱からプラモデルまで、何から何までアトムでした。僕のアトムコレクション人生は、たったひとつの水筒から始まったのです。
そして中学時代には初めて「火の鳥」に触れ、手塚作品のスケールの大きさと発想の奥深さに感嘆し、その影響で大学時代には自ら漫画を描き、講談社「ヤングマガジン」月間漫画新人賞に入選。物語上のアトムの誕生日を目前にした2002年には文芸社から、アトムへの思いを綴ったエッセイ「アトム・ジェネレーション」を出版しました。その後、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等で紹介され、2006年以降は日本全国各地で60回以上のコレクション展を開催。2020年の今では、数えきれないほどのたくさんのアトムたちに囲まれて暮らしています。様々な世代の人たち、様々な国の人たちが僕のアトムコレクションを見て、少しでも手塚作品に触れるきっかけとなればこんな嬉しいことはありません。僕はいつもそんな思いでアトムたちを飾っています。
 私たちはどんな時もアトムのような「道徳心」で物事を判断しなければならないと思うのです。そして現在、世界の権力者たちに最も欠けているのがこの「道徳心」だと思います。「正義」は国それぞれですが、「道徳心」は世界共通だと信じています。手塚先生が生前、地球の行く末を危惧し描かれた膨大な作品と貴重なメッセージは、今後、人類のバイブルになることでしょう。

鉄腕アトムコレクター・愛知県女性総合センター(ウィルあいち)所長/小池信純
 

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